サイドバッグ(フロントバッグ号外),1984年4月

今回フロントバックの号外として、このサイドバックを出版したのは、新入生諸君に一日も早くWCCの生活になじんでほしいからである。この本に載っていることはこれから君達がWCCの一員として暮らしていく上で必要な知識です。しっかり憶えて早くクラブでの生活に溶け込みましょう。

WCC出版局長 鈴木(英)

海賊版 – 男の薀蓄学

海賊版 – 男の薀蓄学、政経4年永岡

第1段階 – お酒編

酒は呑め呑め百薬の長。てなことを申しますが、これはてえと、度を過ごさない時に言えることなんよね。特に1年生諸君、これから飲む機会が、イヤと言う程増えてくるから、折角早稲田に入って急性アル中なんて文句で新聞紙を騒がせるようじゃイケマセンぞ。

その為に(というのも何だけど)お酒に強くなるコツみたいなモノを伝授しようと思う。まあ体質的な物もあるけどね、私の体験を元にこれから「お酒のおいしい飲み方」をお教え致しますんで耳の穴かっぽじって、目ん玉ひんいて拝聴するように。

第1段階-酒を知ること
ポイント1、お酒の種類(名柄ではない)を言えること
教程1、これは基本です。我々学生が呑んでいるのはせいぜいビール、日本酒、チューハイ、ウィスキーぐらいなものです。特例としてワイン、ブランデー等がありますが取り立てて覚える必要はありません。

ポイント-最初は軽い酒から飲むこと
教程2、これはお酒をおいしく飲む基本ですね。いきなり35度の焼酎を飲むのはゴングと同時にラリアートを喰って血を吐くのと同じ。例としてはビール->日本酒or酎ハイ->ウィスキーも水との割合を1対5乃至1対4程度から始めましょう。

ポイント3、ペース配分を守ること
教程3、人により又は経験によりスピードが異なります。しかし、早すぎたり遅すぎたりするのは座をシラけさせ、話題の流れにうまく乗れないことがあります。そうならない為にもペースを守る、自分のペースを知ることが必要です。技術的な面についてに第3級階で説明します。

ポイント4、つまみについて
教程4、最近の呑み屋ではかなりの種類のつまみが用意されていますが、オーダーの時(特に大人数で行く時)は紙と筆記用具を用意し、店の人を1点に立たせ、五月雨式にオーダーするようではいけません。6-7種顔のつまみが少しずつでも各人均等に渡る様に考えて、速やかにメモし店の人との接触時間を短くすることが必要です。この時大事なことはつまみの来る方向に1番近い人が、自分のすぐ前に置くのではなく、遠い方の人から渡すようにしましょう。そうしないと最終的に遠くに廻らず、また同じ物を追加するようなことになり不経済になりますから12分に注意して下さい。

ポイントレッスン1!(正解はこの教程の最後にまとめてあります。)

Q1.自分のペースを守っていればどのような飲み方をしても良いでしょうか?、

A1-1.自信があればどんな飲み方でも良い
A1-2.周りの人に合わせて流れに注意して飲む

後学の為にも充分活用してセーフティドランカーをめざして下さい。

第2段階、基本的マナーの理解

ポイント5、酒をつがれる時のマナー
教程5、よく酒を勧められるとコップやちょこにビールや日本酒を残したまま、さらについでもらう人を見かけますが、好ましいことではありません。礼儀的にも失礼ですし、お酒もまずくなります。気の抜けたビールに新しいのをついだり、冷たくなった酒にあつかんの酒をついだリすると、多少なり気分も悪くなり酔い易くなったり、アルコールがアルデヒドになり易く(本当かね)体に悪いのは火を見るよりも明らかですね。そうならない為には、

  1. つがれたら残っている分を開ける。
  2. 次に新しい酒を入れてもらい、一息で聞ける(一気ではないよ。第3段階。”一気”を参照)
  3. もう1度注いでもらい1/3程度飲んでからコップを置く。

この躁り返しです。

ポイント6、気分が悪くなった時
教程6、初めて本格的に酒を飲む時、1番気にすることは“つぶれた今どうしょう”ということでしょう。しかしこれにも段階があり、「いきなりキューバタン」といく様なことはまずありません。とにかく気分が悪くなれば吐きに行くことです。ガマンしていると逆にその場で小間物を広げたりして、店や周囲の人の迷惑にもなります。“すぐ、吐くゲロゲロ”の基本を守って下さい。

ポイント7、つまみについて(II)

教程4で述べたことをさらに突っこみましょう。飲み屋においてのつまみは大よそ次の5種類に別れます。

  1. 煮物…煮込み、肉じゃが等
  2. 焼物…焼き鳥、にしん、さんま等
  3. 揚物…鳥唐、ポテトフライ等
  4. 生物(なまもの)…刺身類、酢物類
  5. その他…奴、野菜類、鍋物等

好きな物の順に食べることが必ずしも楽しい飲み方だとは限りません。その日の体調は無論ですが胃によい物か良いかと思います。重い物(揚物、焼物等)ばかりだとアルコールと油、さらには動物性たん白などという消化に悪い物ばかりですから、合間に野菜を入れてみたりするのも一考です。いくらお腹が空いていても、最初からお茶漬なんかを頼むと飲み屋の人からほとんど白い眼で見分れます。

ポイントレッスン2!

Q2. 先輩がお酒を勧めて来ました。あなたは?

A2-1. グラスを開けてついでもらう
A2-2. 残った酒にそのままついでもらう
A2-3. 返すビンを取り上げて3倍にして返す

第3段階、酒を楽しく美味しく飲む技術

ポイント8、ペース配分を守ること(II)

教程8、自分のペースだけで飲んではいけないことを教程3で述べました。ここでは技術面について学ぶことにしましょう。つまみの来ていない最初のうちは、どうしても酒ばっかりになります。こういった時は他合のないような話でも良いから口を動かすことですね。間を待たせることが必要です。つまみが来れば酒のペースは4割方落ちて来ます。この時、つまみばかり食っている様ではいけません。酒4、話4、つまみ2の割合ぐらいが最も良いでしょう。飲みっ放し、食いっ放しでは、周りの連中の流れに乗れなくなります。

ポイント9 – 声について

教程9、酔いが回ってくるとトーンが上がって来ますが、それにつれて座も荒れて来ます。「自分達さえ楽しければ」というような飲み方ではいけません。店が貸し切りなら、それ程、度を超しても少々のことは許されますが、滅多にそういうことはありませんから大人しく欲むことが大切です。笑い上戸、泣き上戸など居ますけど、からんだり怒ったりするのは、お互いに気分を害しますから、自制ということも忘れないで下さい。

ポイント10 – 芸や唄について

教程10、さあだんだん酒も入って気分も盛り上がって来ました。先輩から「何かやれ~」の声も飛ぶでしょう。この時、ウケを狙ってはいけません。シラケても、そのシラケを喜ぶ時世ですから、何事も一生懸命やることです。唄についてもとにかく覚えること。皆で唄える物やノリの良い物であれば、春歌であろうが何だろうが喜ばれるものです。ついでに芸ですが芸のない人は開発するよりも人の芸を盗み、自分風にアレンジした方が良い物が生めるでしょう。カラオケについてはFバックバックナンバーの上田さん(商5)ゼミナールを参照して下さい。

ポイント11 – 一気について

教程11、世間一般に一息で酒を開けることを言っておるようですが、それにしてもビールグラス一杯に5秒もかかるようでは情けない。本格的な一気という物を伝授する。後継者を望んでおる。

  1. 顔は約70度前方
  2. 酒はグラスの8分目
  3. 口を出来るだけ広く開く
  4. 口~食道~胃を1直線に
  5. 呼吸を止めて深呼吸をする要領でそのまま流しこむ

同志社大学元主将鈴木氏よリの免許皆伝。有難く頂戴する様に。合掌。

ポイントレッスン3

Q3. 酒を飲むと声が大きくなりますが、あなたは?

A3-1. 店や周りの人の注意を受けるまで騒ぐ。
A3-2. 他人の迷惑を考え自制する
A3-3. 周りの人も巻き込んでつまみ出されるまで騒ぐ。

以上ここまでで修了検定。

第4段階 – 実地で飲むにあたって

これからが本当に酒を飲むことになります。まず大事なことを1つだけ念頭に置いて下さい。

  1. 認知…体調、所持全、店は高いか安いか等を捉える。
  2. 判断…どんな店がよいか、何を飲むのか酔うとどういう状態になるのか等を事前に判断する。
  3. 操作1.2.を踏まえた上で飲む。自制も忘れずに。

特に言うことはありません。合コンでの技術や女の子と2人で飲みに行く様な技術は、酒を通り超した次元ですので、ここでは取り扱いません。参考となる人だけ列記しておきますので、そういう方に聞い下さい。

・高橋氏(社学OB現ダーバン勤務)
・前田氏(社学3、クラブ1のヤリ手と心得るが…)
・永井氏(理工4、優の数だけ合コンに出ると豪語したけど今年は?)
・私※女の子世話します(対象、1年生に限る)ただしESCA関係だから大学は制限される。御容赦願う。

・・・酒は飲め、しかし呑まれるな

ポイントレッスンの解答

A1-2
A2-1
A3-2

常識です。お忘れなく

参考文献:

山口瞳 – 「酒飲みの自己弁護」
開高健 – 「地球はグラスのふちを回る」「新しい天体」「開口閉口」

付録1 – 応急処置

気分が悪く青くなってまだ吐けそうだと思ったら塩水(濃いのが良い)を飲ませること。

また冷たい風に当てるのも良ろしい。無理に吐かせるよりも徐々に。下手をすると気管につまらせたり胃けいれん等を起こして危険な状態になりますで。血なんか吐いてたら迷わず110番。我々では手に負えません。

付録2 – 二日酔い対策

とにかく水分を取って出来るだけ早く体の外にアルコールを出すことです。離尿効果の高い物として日本茶、コーヒー、ビールでも良ろしい。さらにアルコールを分解させるのには果汁や野菜に含まれるビタミンCがあります。ポカリスエット等も効き目がありますが短時間でというのならコーヒーやトマトジュースの方が効果的。

付録3

「あー疲れた・ペンだこができちゃったよ。」
代筆した荒川センセー談

オレは2年の瀬古均だ。オレはずつきだ。

ふるちんいのこのマニュアル

ふるちんいのこのマニュアル – 氏本

序論 – この文書がて一年会諸君の眼にふれるころは、新歓コンパを直前に控え、あせって芸を考えていることと思う。思いおこせば1年前、始めてふるちんいのこのことは私にとって衝撃的であったことはいうまでもない。そこで、ふるちんいのこ歴5回の氏本が1年生諸氏にその傾向と対策を伝授する。コンバで役立てていただければ幸である。

1. 新歓コンパ編

今思いおこせば非常になれなれしかった私は、もう最初からふるちんいのこの標的にされていたと思う、これはもう仕方がないことなのだが、問題はそれ以外のところにあった。すなわち私は不注意にも芸をする順番が最後になるような場所にすわってしまった。一人一人、同輩が料理されるのを眼前にして待つのは、水そうの中でのハマチの気分であった。

2年鈴木の例
現任2年の鈴木はかぶと虫の交尾のまねをするつもりだった。着服の上ビールビンを服にはさむだけだったが、実際おこなわれたのはこうである。1年の芸になぜか2年の河口さんが脱がされ、鈴木も脱がされほんとうに交尾をさせられた。2年生諸氏は冗談がきかないといういい例である。またこの芸はあまりの好評のため以後カブトムシコールが起こる危険があった。すなわち、この事件は芸の選択には細心の注意を払うべきである、ことを物語っている。

2. 夏合宿編

夏合宿での打ち上げコンペで私は史上初の2回のふるちんいのこ、という金字塔をうちたてた。芸がレナウンと洗たく屋だったからむりもない。夏合宿を終え恥の概念のうすれた夏合宿後のコンパである。どしどし、ふるちんいのこをしてもらいなさい。

3. 早同交歓会編

3日目・ミーティングも終ったころ、私はまだふろに入っていなかったため、「ふろに入りたい」と叫んだ。不注意だった。同志社玉木の「ほんなら手間少省いたろか」の一言でふるちんいのこをされてしまった。すきを見せてはならないというよい例である。

荒川先生の例
今まで1度もふるちんこのこを、されなかった荒川先生も早同のスタンツでは標的にされてしまった。しかもなんと「ひとりふるちんいのこ」という今まで誰も試しみたたことのない技を見事にやリとげた。ここで注意してほしいのは、私は最後のスタンツでふるちんいのこをされなかったことである。つまり、この例は何人もふるちんいのこからはのがれられない、ということと、後にまわされるほど!!エグイ。ということを物語っている。

4. 改選コンパ編

ラリーで機材局長に選ばれた私は、ふるちんいのこの気配におびえていた。そのため酒も食も進まない。これが失敗であった。BigBOX前でSpecialふろちんいのこをされた私は激怒してしまった。場所と時間をわきまえなかった2年会、1年会にも罪はあるが、私にも過失はある。つまり、ふろちんいのこの気配を感心じた時には、何が何だかわからないくらい酒を飲んでおけば、このような事故はまだ未然に防げたのである。以上のことをよく分析し、1年生諸君は走りに芸に精進していだだきたい。

1年生への一言
新歓コンパの夜は家に帰れないのが通常である。よく注意すること。クラブ内には企画、資料、出版メカ、ESCA、機材、会計、涉外、トレーニングの局があり1年会も全員いづれかの局に入らねばならない。新歓ランの時に決定する。

ひとこと

氏本がイノコ編を書いてたが、まだ甘い!

ちなみに、オレは新歓でオレ1人だけ、何と大隈講堂でフルチンイノコされた。その時、となりには、テニスサークルの女の子が・・・・そして翌日、オレの金玉は内出血していた!!子供がつくれない3年でした。

とにかく、目立て、目立たないと存在がなくなってしまうぞ。逆に目立たな過ぎると目立たせてやるよ – 近藤。

編集後記

新入生の諸君、クラブの機関紙というものを一読した後の感想には何如???
フロントバックの号外として出版したこのサイドバックは新入生の君達に一日も早く、ワラブの雰囲気を知ってもらい、慣れて欲しいために号外という形をとり緊急に出したものです。

新入生は読んでみて、ただおもしろかったに終わらせずに全体の中から伝わってくる感触を受けとめて欲しいと思っています。君達が早くWCCの輪の中に抵抗なく溶け込めるようになることを祈ります。

早槌田大学サイクリングクラブ
出版局長 鈴木(英)
1984年4月

PS.出版局のみんな、及び、投縮してくれた人達、私の突然の思いつきに着いてきてくれて本当にどうもありがとう。

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